
目次
綿生地の特徴:織り方、編み方、加工方法
生地をつくる「織り」と「編み」、「加工」
布生地は、おもに糸を「織る」か「編む」ことで作られます。織り方、編み方によって生地の特徴が異なります。特殊な加工をすることで生地に個性を追加することも。織り、編み、加工で生地の可能性はとっても広がります。
同じ綿生地でも、カーテンやバッグのような張りがある生地、よく伸びる肌着やセーター生地などさまざまな表情を見せてくれます。
※綿花の種類や糸の性質によっても生地の風合いは変わります。詳しくは「綿の種類と特徴:用途別解説」「綿糸の特徴:作られ方・太さ・撚り」をあわせてご覧ください。
織り、編み、加工それぞれの概要
織物は伸びにくく張りがあり、編物はよく伸びてやわらかい。工程のなかや仕上げに効果をつけるのが加工です。
織りについて
経(たて)糸と緯(よこ)糸を縦横に組み合わせて布を作るのが「織り」。織り方によって生地の表情、耐久性、通気性、伸縮性などが変化します。
基本的に平織り、綾織り、朱子織りの3種類の織り方をベースに作られています。
平織りの特徴
たて糸とよこ糸を交互に交差させて織っています。基本的には耐久性が高く伸びがないですが、糸の太さや本数、織りの密度によって特徴は変わります。
- 細い糸を使えば薄手、太い糸なら厚手の生地になる
- たて糸とよこ糸の太さが違うと模様のような表現が出る
- たて糸とよこ糸の本数を複数にすると通気性が高まる
- 低密度で織るとやわらかく通気性高く、高密度で織るとハリと光沢が出る
平織りから発展した織り方
よく見る平織り生地
※厚みは糸の太さなどにもよるため参考程度にお考えください。
綾織り(ツイル、斜文織り)の特徴
斜めに線が現れるように織る方法。平織りより厚手で伸縮性があるのが特徴です。ジーンズやチノパン、ジャケットなどによく使われます。
よく見る綾織り生地
朱子織り(サテン)の特徴
たて、よこ糸のどちらかが表面に浮き出るように織る方法。糸の交錯点(交わるところ)が少なく、しなやかで光沢のある美しい生地です。繊細なため摩擦や引っ掛かりには弱め。裏地やブラウス、寝具などに使われます。※綿糸では「シルケット加工」をほどこしてから作られます
編みについて
一本or複数の糸を絡ませて布生地にしたものが編み生地です。いわゆるニット。伸縮性とやわらかさ特徴。横方向にループ(輪)で編むよこ編み、縦方向に編むたて編みに分けられます。
- 細い糸を使えば薄手、太い糸なら厚手の生地になる
- 細い糸を使うとなめらか、太い糸ならざっくりとした風合いになる
- 編み方によって伸縮性や編み目の出方が変わる
よこ編み(平編み、ゴム編み、パール編み)
よこ編みは平編み、ゴム編み、パール(ガーター)編みの3種類がベースです。複数の編み方を組み合わせたり、目の細かさやデザインによってできあがる「◯◯編み」、はさまざま。よく目にする編み方をご紹介します。
- 平編み:生地の片面が表目、もう片面裏目。Tシャツなどよく見る編み方
- ゴム編み:表目と裏目が横に繰り返される。リブや靴下など横によく伸びる
- パール編み:表目と裏目が縦に繰り返される。縦によく伸びる
※表目、裏目は糸の重なりかたのようなもの。見た目や伸縮性が変わります。
よく見るよこ編み生地
特に天竺、フライスを目にする機会が多いと思います。
たて編み
伸縮性が少ないぶん形がしっかりと作れる編み方。織物のようにたて糸を並べて絡み合わせる。織物と編地の中間のような感じ。トリコット、ラッセル、ミラニーズ…など多様な編み方がありますが、綿素材で使われるのはラッセル編みが多いようです。太い糸でブランケットを編んだり、細い糸でレースやネットのように編んだり。
加工について
生地には様々な「加工」がされる場合もあります。加工によってより高品質な製品づくりができるようになっています。
機能面の加工
表面、肌触りの加工
どんな商品にどんな生地・加工が使われる?
着心地の良さや脱ぎ着のしやすさから、Tシャツやカットソーなどデイリーユースには天竺やフライス編地が使われることが多いです。ベビー服や子供服は伸縮性のよいフライスやスムース編みがよく見られます。
ワイシャツやブラウスなどシワが気になる衣類は形態安定加工がされているとお手入れが楽で助かりますね。
シーツやベッドカバーなど、寝具には通気性や肌触りのよい織物が使われます。防縮加工されているものは洗濯に強く、安定して使っていけそうです。
商品表示からわかること
商品のタグや表示から、どんな特徴をもっているのかある程度把握できます。特にオンラインショッピングでは直接見たり触ったりできないので、表示から想像できるようにしておくと納得行くお買い物ができるはずです。
- 🏷️ 天竺編み Tシャツ:横によく伸びる、ゆったり感、やや薄手
- 🏷️ フライス編み タンクトップ:よく横に伸びる、ぴったりシルエット、やや厚みあり
- 🏷️ スムース編み カーディガン:横に伸びる、毛羽立ち少ない、編み目が細かくなめらか、やや厚みあり
- 🏷️ 鹿の子 ポロシャツ:表面に凸凹、サラッとしている、通気性あり肌離れが良い
- 🏷️ コットンサテン シーツ:表面がなめらか、肌触りがよい
- 🏷️ ワッフル タオルケット:凸凹で通気性あり、サラッとしている、夏向き
↑のように、目的に合った着心地や感触を選べるのではないでしょうか。
まとめ
綿の布生地は「織る」か「編む」でかたちになり、「加工」によって見た目や機能が強化されることがわかりました。
作られ方や加工によってまったく違う個性になるのが奥深いですね。こういう布もあったな、と覚えておくと、ちょっと賢く選べるのかなと思います。綿製品探しの参考にしていただければ幸いです。
よろしければ、綿花の種類や糸の特徴についても併せてご覧ください。より複雑、でも面白い世界が広がっていますよ。
参考: Fabric Summary、服地の基本がわかるテキスタイル事典、はじめて学ぶ繊維(信州大学繊維学部)
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