オーガニックコットンの正しい知識。普通の綿との違いと選び方
基礎知識
2025年9月25日

オーガニックコットンの正しい知識。普通の綿との違いと選び方

オーガニックコットンのイメージ

「環境にやさしい」「肌にやさしい」「高級で安心」 オーガニックコットンと聞くと、こんなイメージを思い浮かべないでしょうか?

広告や商品説明でも安心、肌にやさしい、サステナブルといった言葉で好印象が強調されがちです。

しかし実際には、オーガニックコットンだから必ず品質が良いとは限りません。 イメージに流されず、メリット・デメリット含めた正しい知識を身につけることが重要です。

オーガニックコットンとは、その定義

オーガニックコットンとは、各国の認証基準に従って約3年以上管理された農地で育てられた綿花のこと。 基本的に化学合成農薬や化学肥料を使わず栽培されます。 ※例外的に使用可能リストに記載された薬剤が使える場合もあり

特別な綿の品種ではなく、「育て方の違い」を表す言葉なんですね。

どうして生まれたのか

オーガニックコットンが注目されるようになったのは1980年代のことです。綿花は病害虫被害や作付面積の広さなどから、世界で最も農薬をたくさん使う作物の一つでした。農薬に頼らざるを得ないものの、環境影響や農家さんの健康被害などが表面化していったのです。

こうした問題を受けて「安全で持続可能な綿栽培はできないか」と考えられ、オーガニック農法が広がりました。現在では主にインドやトルコで生産されていますが、世界の綿花全体に占める割合はまだ数%程度にとどまっています。

認証制度について

オーガニックは勝手に名乗れません。名乗るには第三者による認証が必要です。代表的な認証制度を2つご紹介します。

GOTS(Global Organic Textile Standard) 全部盛りオーガニック。原料の綿だけでなく、糸にしたり染めたり縫ったりする工程、さらには働く人の環境まで幅広く基準を設ける国際認証です。オーガニック繊維が70%以上含まれていることが条件で、「Organic」と表示するには95%以上が必要です。

OCS(Organic Content Standard) 素材オーガニック。原料がオーガニックであることを証明する認証制度です。加工工程や労働条件は対象外ですが、オーガニック成分がどのくらい含まれているかを明確に示します。

日本には統一された法的基準がないため、認証なしに「オーガニック」と表示されている商品もあるそう。逆に認証を受けずとも(コストや手続きの省略などで)オーガニックコットンを使っている…というパターンも。確実に区別するなら購入時は認証ラベルや認証機関を確認することが大切です。

オーガニックコットンと普通のコットンの違い[比較表]

項目オーガニックコットン普通のコットン
育て方農薬・化学肥料を基本的に使わず、3年以上管理された農地農薬・化学肥料を使用可能
認証GOTS、OCSなどの第三者認証あり認証制度なし
環境への影響土や水の汚染を抑える農薬・肥料による環境への負荷が心配される
作る人の健康農薬による健康リスクが低い農薬使用による健康被害のリスクがある場合も
繊維の性能品種や加工方法で決まる(普通の綿と基本的な違いはない)品種や加工方法で決まる(オーガニックと基本的な違いはない)
価格収穫量の少なさ・認証コストで高くなりやすい生産効率が高く、比較的安い
世界での生産量数%以下でとても少ない圧倒的に多い

オーガニックコットンのメリット

環境への負担を減らす

影響性のある化学肥料や農薬を使わないことで、土や水の汚染を抑えることができます。また、輪作(違う作物を交代で育てること)や堆肥利用により、農地を長期間健康に保ちやすくなります。

作る人の健康を守る

農薬を使わないことで、農家や働く人の健康被害を受けるリスクを減らせます。

作られた過程がわかる

認証制度により生産から出荷までの工程が管理されているため、どこで、どのように作られたかを確認できます。

企業のメッセージとしての価値

「オーガニック素材を使っている」と、企業やブランドの環境に対するイメージを示すこととなり、差別化要素になります。

普通の綿と変わらないこと、デメリット

オーガニックだからといって、綿繊維の性能が良くなるわけではありません。 インナーやベビー服などでオーガニックコットンを見かけることは多いですが、単純に高品質ということでもないのです。

肌触りや強度、光沢などは「どんな品種の綿か」や「糸をどう加工するか」によって決まります。オーガニックかどうかは「育て方の違い」なので、必ずしも品質の差につながるわけではありません。 ※詳しくは綿の種類の解説記事綿糸の解説記事綿生地の解説生地をご参考ください

オーガニックコットン=肌にやさしいというイメージが強いですが、必ずしもオーガニックだから良いのではなく、普通の綿でも種類、糸、生地によって肌触りの良さは実現できるものです。

農薬不使用や無染色にこだわるならオーガニックコットンが選択肢に入りやすいということですね。

価格が高い理由

オーガニックコットンが高価格になりやすいのは、以下のような理由があります。

  • 収穫できる量が少ない : 手間がかかる上に病気や害虫、雑草の影響を受けやすく、普通の綿よりも収穫量が減ってしまいます。
  • 認証にお金がかかる : 審査や監査、管理体制を維持するのに費用がかかります。
  • そもそも生産量が少ない : 世界全体で数%しか生産されていない希少性があります。
  • ブランド価値として扱われる : 持続可能性を重視する風潮から、プレミアム価格として販売されることが多くなっています。

高い=高品質とは限らないということです。こうした事情を理解しておくと納得感も増すことでしょう。

オーガニックコットン、選び方のポイント

オーガニックコットン製品を選ぶ時に参考になるポイントをまとめました。

  • 認証ラベル : タグや販売ページにGOTSやOCSといった第三者認証があるか
  • どこまでオーガニックか : 原料の綿だけなのか、製品全体なのかを確認
  • 綿の種類や加工方法 : 肌触りや丈夫さを重視するなら、綿の品種や糸の仕上げを見るなど

まとめ:イメージに惑わされず、賢く選ぼう

オーガニックコットンの本当の価値は、環境への負担を減らすこと、作る人の安全を守ること、どこで作られたかがわかることなどにあります。

一方で「品質が良い」「肌にやさしい」といったイメージは、必ずしも正しいとは言えません。

商品を選ぶ時はオーガニックだからと単純に考えるのではなく、本当にほしいものは何か?それに合った商品はなんだろう?と少し立ち止まって考えてみると満足のいくお買い物ができるのではないでしょうか。

よくある疑問・質問

Q1. オーガニックコットンは普通の綿より肌にやさしいの?

A. 繊維自体の性能に大きな違いはありません。肌触りや刺激の少なさは、綿の品種や糸の加工方法によって決まります。

Q2. なぜオーガニックコットンは普通の綿より高いの?

A. 主な理由は4つです。①農薬を使わないため収穫量が少ない ②認証取得や管理に費用がかかる ③世界全体で数%しか生産されていない希少性 ④サステナブル素材としてのブランド価値。

Q3. オーガニックコットンの方が長持ちするの?

A. 耐久性は繊維の品種や糸の太さ、生地の織り方によって決まります。オーガニックだから特別に長持ちするということはありませんが、化学処理が少ない分、繊維の自然な風合いが保たれやすいとされています。

Q4. 赤ちゃんにはオーガニックコットンの方が安全?

A. 製造工程で農薬はほぼ除去されるため、普通のコットンでも問題ありません。無染色や化学処理を最小限にしたい方にはオーガニックコットンが向いています。

Q5. オーガニックコットンの認証はどう確認すればいい?

A. 商品のタグや販売ページでGOTS(世界基準)やOCS(成分基準)などの認証マークを確認してください。日本には統一基準がないため、認証なしに「オーガニック」と表示されている商品もあります。確実性を求めるなら第三者認証付きを選びましょう。

参考

綿1000%で探してみる

Amazon、楽天市場、Yahoo ショッピングの商品から一度に検索できます。 よろしければキーワードを選んでいろいろな綿商品を見つけてみてください。

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