綿が縮む理由とパターン4つ、対策と戻し方
基礎知識
2025年10月7日

綿が縮む理由とパターン4つ、対策と戻し方

「洗濯したら綿のTシャツが小さくなった」そんな経験はありませんか?お気に入りの服が縮んでしまうと残念ですよね。

この記事では、綿が縮む理由と対策、縮んでしまった時の戻し方について解説します。知識があれば縮みを最小限に抑えて長く使い続けることができますよ。

綿が縮む仕組み

繊維の性質による縮みやすさ

綿はセルロースという物質で、繊維の中に空洞があるもの。繊維自体はねじれたリボンのようなかたち。この構造は吸水性を高くすると同時に、縮みの原因でもあります。

綿の繊維について、詳しくは綿の基礎知識|繊維、4種類の綿花と特徴の記事、糸については綿糸の特徴:作られ方・太さ・撚りもご覧ください。

引き伸ばされた繊維が戻る(緩和収縮)

綿の繊維は糸の製造過程で引き伸ばされています。引き伸ばされたものが洗濯によって緩み、元の長さに戻ろうとすることで縮みが起きます。

水分を吸ったあと乾燥して縮む(膨潤収縮)

繊維が水分を吸収して膨らみ、絡み合った状態で乾燥すると縮みます。綿は親水性(水とのなじみやすさ)が高いため、この現象が起きやすい素材です。

綿が縮む4つのパターン

綿が縮みやすいタイミングは主に4つ。

1.初回の洗濯

もっとも縮みやすいのは初めて洗濯するとき。 製造時に加えられた引き伸ばし力が残っているため、縮みが大きくなります。

2.編み物(ニット)や薄手の生地

セーターやTシャツなど編地、薄手の生地は縮みやすいです。繊維の目が粗く、すき間が広いため、そのすき間を埋めるように縮んでしまいます。

3.乾燥機の使用

高温・急速に乾燥させると繊維の収縮も強まります。もともと洗濯で絡まっていたところに、乾燥機の熱と回転でさらに絡まり縮むというわけです。

4.強い脱水

脱水によって生地が強く絡みながらねじれ、縮みが進みます。

綿を縮ませないための4つの対策

縮みを最小限に抑えるための対策です。試しやすいもの、縮ませたくないものに。

1.洗濯ネットを使う

洗濯機の水流は想像以上に強力。洗濯ネットに入れることでほかの洗濯物との絡まり・摩擦ダメージを軽減できます。

2.弱水流コースで洗う

「ドライコース」「手洗いコース」「ソフトコース」など、できるだけ弱い水流で洗ってみましょう。摩擦が軽減されて縮みやシワを防げます。

大切な服は、大変ではありますが手洗いするのも手。

3.脱水時間を短くする

脱水は最低限、できるだけ短い時間で済ませます。適度に水分を取り除ける程度にとどめる。ニットやデリケートなものなら1分程度でも。自分で許せる範囲を探ってみるとよさそう。

4.自然乾燥する

風通しの良い場所で陰干しします。扇風機やサーキュレーターで風を当てるとベター。干すときは軽く手でパンパンと叩いて形を整え、縮みたい方向とは逆に軽く引っ張りながら干すと効果的です。

防縮加工について

綿製品には、縮みを防ぐため膨潤加工がされているものも。

主な防縮加工の種類

加工名特徴
防縮(サンフォライズ)加工特殊な機械で生地を収縮、定着させる。縮みをほぼ防げる
シルケット(マーセライズ)加工引っ張りながら苛性ソーダに浸す。完全な防縮ではないが形態安定、光沢も出る

商品タグに「防縮加工」「サンフォライズ」などの表示があれば、縮みにくい製品だと判断できます。縮んでほしくないときは表示を確認してみるとよいでしょう。

縮んでしまった綿の戻し方

縮んでしまった服をあきらめたくないとき。元に戻せる…かもしれません。

が、どれも一時的であることにご注意ください

1.アイロンとスチームで伸ばす

霧吹きで水分を含ませながら、布地を軽く引っ張りつつアイロンをかけます。この動作を繰り返すことで、徐々に元の状態に近づけられます。綿100%なら基本的に高温設定もOK(念のためタグを確認してみてください)。

洗濯表示の見かたと綿製品の洗濯方法も参考まで。

2.柔軟剤やヘアトリートメント(ジメチコン入り)で伸ばす※注意あり

柔軟剤やトリートメントで繊維をほぐして縮みをゆるめる方法。トリートメントはジメチコン(アモジメチコン)というシリコン成分が入ったものを使います。

30〜40℃のぬるま湯に柔軟剤やトリートメントを溶かし、縮んだ服を30分〜1時間程度つけ置き。軽く脱水したあと形を整えて平干しします。

※⚠️注意:柔軟剤は繊維をコーティングしてしまうため、タオルや肌着など吸水性が必要なものには非推奨です。

3.もう一度洗って整える

もう一度洗濯し、生地を傷めない程度に引っ張りながら形を整えて干してみます。繊維を濡らしてゆるませ、形を整えながら乾かすことで縮みを矯正するかたちです。半乾きの状態で少し引っ張りながらアイロンがけすると、縮みがだいぶ解消されます。

他の素材との縮み比較

麻(リネン)

麻も綿と同じ植物繊維で縮みやすい素材です。縮む仕組みも綿と同じですが、繊維が固く伸びにくいので綿よりもやや縮みやすく戻りにくいといえます。

ウール(羊毛)

ウールは水で特に縮みやすいです。繊維表面がウロコ状(スケール)になっており、水に濡れてウロコが開いた状態で揉まれると繊維同士が強く絡まります(フェルト化)。一度縮むと元に戻すのは無理かも…。ウォッシャブル加工を選んだり、おしゃれ着用洗剤での手洗い、ドライクリーニングなどが勧められます。

ポリエステル

ポリエステルは化学繊維で縮みにくい素材です。水を吸わないため、洗濯による収縮がほとんどありません。ただし、高温の乾燥機を使うと熱で繊維が変形することがあるため注意が必要です。

素材別縮みやすさ比較

素材縮みにくさ主な原因対策
綿水分吸収と乾燥時の収縮低温・弱水流・自然乾燥
麻(リネン)水分吸収と乾燥時の収縮手洗い・短時間脱水・陰干し
ウールフェルト化(繊維の絡まり)ドライクリーニング推奨
ポリエステル高温による繊維の変形低温乾燥

よくある疑問

乾燥機は絶対に使ってはいけない?

まずはタグの洗濯表示を確認。基本的に乾燥機をおすすめはできませんが、できれば低温設定で短時間にとどめましょう。8割くらい乾いたら取り出して自然乾燥させると縮みを抑えられます。最近では乾燥機対応の綿製品も増えてきているので確認してみるとよいでしょう。

なお、筆者はなんでもかんでも高温乾燥で回しています。すごく縮むので大きめサイズを買っています。

縮みを完全に防ぐことはできる?

普通の綿素材なら防げません。洗濯方法と防縮加工などによって抑えることはできます。

綿混素材の縮みはどうなる?

組み合わせ次第。綿とポリエステルなら綿100%より縮みにくくなります。綿と麻、綿とウールなど縮みやすい素材同士なら変わらないor縮みやすくなる可能性もあります。洗濯表示や加工の有無を確認したいところ。

まとめ

綿が縮む理由は、繊維が水を含み、膨らみ、絡み、乾いて縮む…という過程にありました。洗えばどうしても縮んでしまうというのが実情ですね。そんななかでも縮みを少しでも防ぐなら、

  • 洗濯ネットを使う
  • 弱水流で洗う
  • 脱水時間を短くする
  • 自然乾燥にする

といった対策がよいでしょう。

洗濯に気を遣う暇なんかないよ、という方は防縮加工された製品を選んでみるとよさそうです。お気に入りの綿製品を長く使えるよう、縮む原因と対策を頭の片隅にでも置いておいてみてくださいね。

参考

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