季節に合わせた綿製品の選び方:秋 | 綿が一番活きる!
基礎知識
2025年9月29日

季節に合わせた綿製品の選び方:秋 | 綿が一番活きる!

秋は綿素材が気持ちいい季節

秋は綿製品がもっとも活躍する季節といっても過言ではありません。暑すぎず寒すぎない気温、爽やかな空気、朝晩の寒暖差。これが綿の特性とぴったりなんです。

夏の強い日差しは落ち着きを見せ、冬の厳しい寒さまで時間がある。ちょうど中間の秋だからこそ、綿の持つバランスの良さが際立ちます。

この記事では、秋の気候と綿の相性、そして具体的な商品選びのポイントをご紹介します。

秋という季節の特徴

秋というと、だいたい9月から11月ですね。気象庁によると、秋は移動性高気圧に覆われることでさわやかな秋晴れの日が多くなるそうです。

項目特徴
気温15〜25度程度で過ごしやすい
湿度40〜60%とやや乾燥気味
朝晩の寒暖差大きくなる
天気の変化高気圧と低気圧が交互に訪れる
空気の状態澄んでいて清々しい

秋の前半(9月)はまだ残暑があり、後半(11月)は冬の訪れを感じる時期です。この気温変化に柔軟に対応できる素材選びが大切になってきます。

綿と秋の相性がいい理由

適度な吸湿性

秋は日中は気温が上がる日もあるため、動けば少し汗をかくこともありますね。

綿はポリエステルに比べて20倍以上も湿気を吸収します。(詳しくはこちらの記事で解説しています)。汗をかいてもしっかり吸い取ってくれるので、日中の活動でも快適です。

羊毛や麻はより吸湿性が高いのですが、羊毛はもう少し先の季節に合いますし、麻だと少し肌寒く感じる頃。綿の程よいバランスが秋に適しています。

ほどよい保温性

綿の繊維は中心部が空洞になっています。この構造により、基本的に空気を含んで熱を逃しにくくなっています。裏毛や起毛加工されている生地は更に暖かく感じられます。朝晩冷え込む秋には、この保温性が役立ちます。

湿度調整がちょうどいい

綿は水分を含むと逃しにくい性質があります。これは夏には「乾きにくい」というデメリットになります。

しかし秋は夏ほど大量に汗をかかないため、むしろ乾燥しすぎないメリットに。綿のポテンシャルを活かすチャンスです。

花粉対策にも

綿の静電気をまといにくい性質は花粉対策にも。秋はブタクサなどの花粉が発生しますが、静電気を帯びている素材にくっつきやすい特徴があります。綿は花粉がつきにくい素材とも言えるのです。※起毛やニットなど毛羽立っていると付着しやすくなります

肌への優しさ

秋は空気が乾燥してくるため、肌が敏感になりがちです。静電気が起きにくい、ほどよい湿度を保つなど、乾燥する季節でも快適に過ごせます。

秋にぴったりの綿生地

秋に向いている綿生地の例を挙げます。同じ綿でも生地の選び方で着心地は大きく変わります。

織物の生地

生地名特徴用途例
ブロード程よい厚みと滑らかさ。通気性と保温性のバランス◎シャツ、ブラウス
オックスやや厚手で通気性が高い。丈夫シャツ、カジュアル着
フランネル起毛加工で空気を含む。温かくやわらかパジャマ、羽織物
ガーゼ薄手だが重ねると保温性。通気性も◎寝具、インナー

ブロードオックスは秋の定番です。適度な厚みがあり、朝晩の冷え込みにも対応できます。日中も暑すぎません。

フランネルは10月後半から11月に活躍します。起毛加工により繊維の間に空気を含むため、薄手でも温かく感じます。ネルシャツのネルです。

ガーゼは一枚では薄手ですが、ダブルガーゼやトリプルガーゼなら保温性も確保できます。通気性が高く、蒸れにくいのでパジャマや寝具にぴったりです。

編み物の生地

生地名特徴用途例
天竺横方向に伸びる。程よい薄さTシャツ、カットソー
フライス高い伸縮性。やや厚み肌着、インナー
スムース両面が滑らか。保温性もあるカーディガン、肌着
裏毛(裏パイル)パイル部分が空気を含み温かいスウェット、羽織物

天竺は伸縮性があり、Tシャツやカットソーによく使われます。秋は糸の太さ(番手)や密度によって、気温に合わせた厚みの製品が選べます。

スムースフライスは更に伸びます。肌着によく使われますね。体にフィットしながらも締め付けません。スムースは二重生地になっており保温性も高めです。

裏毛は10月以降のはおり物に最適です。スウェットやパーカーなど、朝晩の冷え込みや肌寒さを感じる頃に重宝しますね。

生地の種類や特性についての解説記事も併せてご参考いただけます。

秋に選ばないほうがいい綿生地

どちらかというと秋にはあまり適さないかな、という生地も挙げてみます。

強撚糸の生地

強く撚った糸を使った生地は、シャリ感があり涼しく感じます。夏向けの特徴なので、秋には少し寒々しく感じることも。特に朝晩の冷え込みには向きません。

※糸の撚りについてはこちらの記事で解説しています

極薄手の生地

ローンなどの極薄手の生地は、秋には少し寒く感じるかもしれません。上にカーディガンやパーカーなどを羽織りたくなるかも。

秋のアイテム選び 衣類、寝具など

ではどんなものを選べばいいか?具体的な商品選びのポイントをご紹介します。

基本的には一般的かつ普通の綿製品でまったく問題ありません。 普通の綿が活きる季節ですから。

👕Tシャツ・カットソー

秋は気温の変化が大きいため、重ね着しやすい綿のTシャツやカットソーが活躍します。

  • 9月〜10月前半:一枚で着られる厚みのもの
  • 10月後半〜11月:重ね着用として、または厚手のもの

天竺、スムースなど編み方はさまざまですが、糸の太さ(番手)や密度によって厚みが決まります。普通、やや厚手の一般的な生地でOKでしょう。綿100%なら静電気も起きにくく、重ね着しても快適です。

🧥羽織物(パーカーやカーディガン)

  • 9月〜10月前半:薄手の天竺カーディガン
  • 10月後半〜11月:裏毛スウェット、フランネルシャツ

朝晩の冷え込み対策にぜひ持っておきたいですね。裏毛のスウェットパーカーなら気温調整がしやすく便利です。冬はさらに重ね着してもいい、春にもまた使える優秀選手です。脱ぎ着でのパチパチが起きづらいのもありがたい。

🏚️パジャマ・部屋着

  • おすすめ生地:フランネル、ダブルガーゼ
  • ポイント:起毛加工やガーゼの重ね構造で保温性を確保

フランネルのパジャマなら起毛加工で薄手でも温かく過ごせます。ダブルガーゼは層の間に空気を含むため、通気性と保温性の両取りです。肌触りもよくて着心地もいいですね。

🛌寝具

綿100%の寝具はもちろん秋にも使いやすいです。肌当たりの柔らかさ、保温性などより快適に使えます。

布団カバーやシーツは、ブロードやサテン生地が一般的です。より暖かさ、心地よさを考えるならフランネルやガーゼ素材を探してみてはいかがでしょうか。

まとめ

秋は綿素材の持ち味を発揮できる季節です。適度な吸湿性、保温性。重ね着しても静電気の心配が少ない。乾燥する季節にも肌にやさしく触れられます。

春も秋に似ていますが、乾燥しがちなぶんより秋が綿との相性がよいと考えています。

綿は一年中使えますが、秋のような過ごしやすい季節は良さが際立ちますね。筆者は綿100%の裏毛パーカーをひたすら着倒して過ごしています。

商品選びの際は、生地の種類や厚み、加工方法(起毛、ガーゼの重ねなど)にも注目してみてください。秋の綿製品選びがきっと楽しくなるはずです。

参考

綿1000%で探してみる

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